大会なんて こわくない! ④
2010年6月4日 大会なんて こわくない!4.ジャッジなんてこわくない!?
フォーマットも確認した、予約も済ませた、道具も用意した、構築ならデッキとサイドボードもバッチリ。
それでは大会当日です! 当日の流れを順を追って見ていきましょう。
※ただし、あくまで私がよく参加する大会をモデルにしていますので、皆さんが参加する大会と必ずしも全く同じにならない可能性があることを あらかじめお断りしておきます。
・大会の進行
なにはともあれ、まず受付があります。
ここで参加費を支払い、エントリーシートに名前を記入しましょう。
また、構築フォーマットであればデッキリストを提出します。 受付時間より少し早く来て、会場で用意されているデッキ登録シートに記入しても構いませんし、事前にリストを用意しておいても問題ありません。
全員の受付が終わると、ジャッジからの説明があります。この説明は、大会参加者が必要とする情報で構成されています。
特に、新エキスパンションのプレリリーストーナメントでは、新システムなどの説明が入りますので、たいへん重要です。
大会前で気分が盛り上がり、友達と話したくなる気持ちは大変よく分かりますが、大会での注意事項などが話されますので聞き漏らしのないようにしましょう。またルールに限らず、その日のラウンド数(試合回数)や休憩時間などについても、主にココで説明されます。
あなたが大会に慣れてくると、概要が大まかに把握できるようになるため説明を聞かなくても問題ない気がする時期が来るかもしれません。
しかし、突然のオラクル(公式カードテキスト)変更や、ゲームの駆け引きに関わるルール変更など、慣れているからこそ重要な説明が入ることもあります。
また、あなたが大会慣れしたとしても、会場にはその日初めて大会に参加する「この文章を読んでいる今のあなた」と同じ人がいるかもしれません。
ですので、やはりジャッジの話が聞き取りやすくなるように静かに聴くのがマナー的にも良いでしょう。
そして一通り説明が終わると、
・ 構築フォーマットの場合は、ペアリング(対戦相手決定)があります。自分の対戦テーブルを確認して、着席してください。対戦相手と挨拶をして、シャッフルなどをしながら待つと良いでしょう。ジャッジの指示があるまでは勝手にゲームを始めないようにしてください。
・ リミテッドフォーマットの場合は、今回使用するブースターパック等が配られます。受け取った後、ジャッジの指示があるまでは開封しないでください。シールドなら、ジャッジの指示に従って開封→デッキ構築を時間制限内に行います。ドラフトであれば、ジャッジの指示に従って、ドラフト→デッキ構築と進みます。どちらも終われば構築フォーマットと同じようにペアリングが始まります。
シャッフル、先手後手の決定、マリガンのチェックが終わり、ジャッジの合図があればゲームスタートです。
全力を尽くしたデュエルを楽しんでください。
一般的には、1ラウンド=1マッチは50分で2ゲーム先取したほうが勝者となります。
そのマッチが終われば、お互いスコアシートまたはスリップに結果を記入し、マッチに勝利したほうがジャッジに提出します。その後、時間があるのなら対戦相手と感想戦を行っても良いでしょう。
ただし、会場内で他の試合が続いている場合は声が大きくなりすぎないように注意が必要です。
あとは既定ラウンド数がくるまで、これの繰り返しです。
ラウンドとラウンドの間でサイドボードの戻し忘れなどが無いように気をつけてください(一部のリミテッドフォーマットではサイドボードを戻さなくても構わない場合があります。ジャッジの説明に従ってください)。
・ ジャッジのしごと
今回のエントリーでは、頻繁に「ジャッジ」という言葉が出てきています。
ジャッジとは、ルールの解釈での意見の違いやルールの間違いなど、大会中に起きた問題を裁定して解決する審判のことです。
分からないことがあれば、積極的に質問してみると良いでしょう。
マジックをやっていると、ルールの細かい部分で対戦相手と意見が食い違うときがあります。
対戦相手がルールを勘違いしているのか、あなたがルールを勘違いしているのか、その時点では誰にも分かりません。ひょっとすると、お互いにルールを間違って解釈している可能性すらあるのです。
さあ、ここでジャッジの出番です。ジャッジは、
・ ジャッジはプレイヤーに対して、ルールに沿ったゲームの処理を行わせることが出来ます。
・ また、ルールやカードの相互作用に関して質問された場合、それに答えることが出来ます。
このように、ジャッジはルール上適正になるようにゲームを裁定してくれます。
スポーツの世界でも、選手がオフサイドに引っかかったか、またはファールラインぎりぎりに飛んだ打球がヒットだったのかファールだったのか、当事者同士で決まるものではありません。これらを審判に判定させるように、トーナメントマジックでもジャッジに判断を任せる必要があるわけです。
ですので疑問に思ったときは、たとえベテランプレイヤーが自信満々に説明したとしても、そのまま流さずにジャッジを呼んでルール上適正か確認を求めると良いでしょう。
ジャッジがテーブル間を巡回して、ちょうど通りがかった時にルール上間違ったカードの運用をしたなら、ジャッジはそれを指摘して適正な処理をするように求めます。
しかし現実問題、常時全てのテーブルに同時に目を配るわけにもいきません。
繰り返しになりますが、疑問や違和感を感じたなら、あなた自身が「呼ぶ」ことが必要です。
以前、私は「ジャッジを呼ぶと、ジャッジの仕事を増やしてるようで申し訳ない気がする」という意見を聞いたことがあります。
しかしルールミスをそのまま放置しておくと、さらなるルールミスや処理不能な状態に陥る可能性があり、それからジャッジを呼んでもゲームが修復不可能になるケースも少なくありません。
そうなった場合、ジャッジへの負担は余計に大きくなってしまいます。
ゲームの進行中に違和感を感じたら、問題が大きくならないうちにジャッジを呼ぶということは、逆にジャッジの負担を軽減することに繋がっているのです。
ちなみにジャッジを呼ぶ際は、急に大声で「ジャッジー!」 と呼ぶと対戦相手が驚いてしまいます。
ジャッジの判断を仰ぎたいときは、相手に一言「ジャッジを呼んでルールの確認をしてもよろしいですか?」と断ることで、こころよく応じてもらえるでしょう。
・ ジャッジに聞けること、ジャッジが答えられないこと
初めて大会に参加するということは、つまり初めてジャッジと出会うことでもあるかと思います。
前段で「ジャッジには積極的に質問すると良い」と書きましたが、質問によってはジャッジが答えられない場合がありますので気をつけてください。
主な質問としては、
・ カードの正式なテキスト、またはカードの正式な名称
正式なカード名を知っている必要がありますが、エキスパンション、マナコスト、カードタイプ、パワー/タフネスなどのカードテキスト(オラクル)を聞くことが出来ます。
逆に、上記のカードテキストを伝えることで、該当するカードの正式名称を教えてもらうことが出来ます。
例1)
A「エルドラージ覚醒の無色カードで、【各プレイヤーは、自分がコントロールするすべての有色のパーマネントを生け贄に捧げる。】というテキストの、ソーサリーの正式名称を教えてください」
ジャッジ「《全ては塵/All Is Dust》ですね」
このくらい詳細に伝えることが出来れば、十分教えてもらえるでしょう。
しかし逆に、
例2)
B「エヴァのテキストが思い出せないので教えてください!」
ジャッジ「すみませんが正式な名前でお願いできますか?」
このように、カードの俗称(あだ名)だけでカードのテキストを確認しようとしても、聞くことが出来ません。
もしあなたが《翻弄する魔道士》や《真髄の針》をデッキやサイドボードに入れているときは、相手が使った重要なカードの名前や効果を手早くメモするなどして忘れないようにすると良いでしょう。
・ カードの効果や、カード同士の相互作用の結果
《深淵の迫害者》と《臨死体験》を両方コントロールしているプレイヤーが、ライフ1点の状態でアップキープを迎えた(=《臨死体験》の勝利条件を達成した)らどうなるでしょう。
《深淵の迫害者》には「あなたは勝利することなく」とあります。
《臨死体験》には「勝利する」とあります。
矛盾した2つの効果のうち、どちらが優先するかが問題になります(実際は「勝利できない」が「勝利する」に優先する) 。
一見矛盾するカード同士の効果や、逆にカードの効果を大幅に高める組み合わせなど、M:tGの膨大なカード達は時として様々な相互作用をもたらします。
それらの内いくつかは、カードのテキストをじっくり読むと理解できるものです。みなさんも慣れてくると、テキストを読むことで自己解決できるものが大半になってくることでしょう。しかし、中には複雑なルーリングを引かなければ解決できないものも存在します。
これらのルールの処理で対戦相手と意見が食い違ったときも、ジャッジに頼ってみましょう。
ジャッジは総合ルールとカードの正式なテキストに基づいて、(基本的にはYES/NOで)答えることが出来ます。
ただし、ここにもジャッジにも答えられない質問が存在します。
ルールやカードのテキストに直接かかわらないプレイングや盤面の状況に関する質問は、ジャッジの管轄外です。
これも例を見てみましょう。
例1)
A「ジャッジ、1ターン目の土地セットはどれが良いですか?」
ジャッジ「お答えできません」
A「ジャッジ、今《稲妻》を相手にプレイしたら僕は勝ちますか?」
ジャッジ「お答えできません」
例2)
A「こちらのライフは3点です。こちらが《翻弄する魔道士》を出していて、《圧倒する雷》を宣言しました。するとBさんは《圧倒する雷》をサイクリングして、こちらに6点のダメージを与えようとしました。《翻弄する魔道士》で禁止しているのに可能なのでしょうか?」
ジャッジ「可能です」
A「それは何故ですか?」
ジャッジ「《翻弄する魔道士》は、呪文を唱えることを禁止します。対して《圧倒する雷》のサイクリングは呪文としてではなく、カードが持っている起動型能力です。起動型能力は呪文を唱えることにならないので、《翻弄する魔道士》の影響を受けません。サイクリング能力を使ったことにより、【対象のプレイヤーかクリーチャーを対象とする。それに6点のダメージを与える】という誘発型能力がスタックに載るわけです」
A「わかりました。(Bに向かって)ではこちらは何もありませんので、ライフが0以下になります。Bさんの勝ちです」
例1は、プレイングに関する質問(土地を置く順番)や、盤面や手札に左右されるためにプレイヤーが判断すべき問題です。
これらはジャッジには答えられません。
例2は、カードの相互作用に関する質問です。
確かに勝敗に関係していますが、それはプレイングの問題ではなく、今起きていることのルール的な意見の相違を解決する質問ですので、ジャッジがルールとカードテキストに基づいて答えることが出来るのです。
判断基準としては、
・ カードのテキストや相互作用などで、
・ YES/NOの範囲で答えられそうな質問
ならば、ジャッジは答えてくれるでしょう。
・ ジャッジなんて こわくない
少し難しい話が続いてしまいましたが、かんたんにまとめると、
1.ジャッジとは、プレイヤー間で込み入った話を整理してくれる人である
2.ジャッジとは、プレイヤーの疑問に答えられる範囲で答えてくれる人である
ということです。
初めて参加する大会で、右も左も初対面なら、一番頼りになるのは公平中立のジャッジです。
こわがらずに、気軽に質問してみてください。
ジャッジだってあなたと同じで、MtGが大好きな1プレイヤーであることに変わりはないのですから。
フォーマットも確認した、予約も済ませた、道具も用意した、構築ならデッキとサイドボードもバッチリ。
それでは大会当日です! 当日の流れを順を追って見ていきましょう。
※ただし、あくまで私がよく参加する大会をモデルにしていますので、皆さんが参加する大会と必ずしも全く同じにならない可能性があることを あらかじめお断りしておきます。
・大会の進行
なにはともあれ、まず受付があります。
ここで参加費を支払い、エントリーシートに名前を記入しましょう。
また、構築フォーマットであればデッキリストを提出します。 受付時間より少し早く来て、会場で用意されているデッキ登録シートに記入しても構いませんし、事前にリストを用意しておいても問題ありません。
全員の受付が終わると、ジャッジからの説明があります。この説明は、大会参加者が必要とする情報で構成されています。
特に、新エキスパンションのプレリリーストーナメントでは、新システムなどの説明が入りますので、たいへん重要です。
大会前で気分が盛り上がり、友達と話したくなる気持ちは大変よく分かりますが、大会での注意事項などが話されますので聞き漏らしのないようにしましょう。またルールに限らず、その日のラウンド数(試合回数)や休憩時間などについても、主にココで説明されます。
あなたが大会に慣れてくると、概要が大まかに把握できるようになるため説明を聞かなくても問題ない気がする時期が来るかもしれません。
しかし、突然のオラクル(公式カードテキスト)変更や、ゲームの駆け引きに関わるルール変更など、慣れているからこそ重要な説明が入ることもあります。
また、あなたが大会慣れしたとしても、会場にはその日初めて大会に参加する「この文章を読んでいる今のあなた」と同じ人がいるかもしれません。
ですので、やはりジャッジの話が聞き取りやすくなるように静かに聴くのがマナー的にも良いでしょう。
そして一通り説明が終わると、
・ 構築フォーマットの場合は、ペアリング(対戦相手決定)があります。自分の対戦テーブルを確認して、着席してください。対戦相手と挨拶をして、シャッフルなどをしながら待つと良いでしょう。ジャッジの指示があるまでは勝手にゲームを始めないようにしてください。
・ リミテッドフォーマットの場合は、今回使用するブースターパック等が配られます。受け取った後、ジャッジの指示があるまでは開封しないでください。シールドなら、ジャッジの指示に従って開封→デッキ構築を時間制限内に行います。ドラフトであれば、ジャッジの指示に従って、ドラフト→デッキ構築と進みます。どちらも終われば構築フォーマットと同じようにペアリングが始まります。
シャッフル、先手後手の決定、マリガンのチェックが終わり、ジャッジの合図があればゲームスタートです。
全力を尽くしたデュエルを楽しんでください。
一般的には、1ラウンド=1マッチは50分で2ゲーム先取したほうが勝者となります。
そのマッチが終われば、お互いスコアシートまたはスリップに結果を記入し、マッチに勝利したほうがジャッジに提出します。その後、時間があるのなら対戦相手と感想戦を行っても良いでしょう。
ただし、会場内で他の試合が続いている場合は声が大きくなりすぎないように注意が必要です。
あとは既定ラウンド数がくるまで、これの繰り返しです。
ラウンドとラウンドの間でサイドボードの戻し忘れなどが無いように気をつけてください(一部のリミテッドフォーマットではサイドボードを戻さなくても構わない場合があります。ジャッジの説明に従ってください)。
・ ジャッジのしごと
今回のエントリーでは、頻繁に「ジャッジ」という言葉が出てきています。
ジャッジとは、ルールの解釈での意見の違いやルールの間違いなど、大会中に起きた問題を裁定して解決する審判のことです。
分からないことがあれば、積極的に質問してみると良いでしょう。
マジックをやっていると、ルールの細かい部分で対戦相手と意見が食い違うときがあります。
対戦相手がルールを勘違いしているのか、あなたがルールを勘違いしているのか、その時点では誰にも分かりません。ひょっとすると、お互いにルールを間違って解釈している可能性すらあるのです。
さあ、ここでジャッジの出番です。ジャッジは、
・ ジャッジはプレイヤーに対して、ルールに沿ったゲームの処理を行わせることが出来ます。
・ また、ルールやカードの相互作用に関して質問された場合、それに答えることが出来ます。
このように、ジャッジはルール上適正になるようにゲームを裁定してくれます。
スポーツの世界でも、選手がオフサイドに引っかかったか、またはファールラインぎりぎりに飛んだ打球がヒットだったのかファールだったのか、当事者同士で決まるものではありません。これらを審判に判定させるように、トーナメントマジックでもジャッジに判断を任せる必要があるわけです。
ですので疑問に思ったときは、たとえベテランプレイヤーが自信満々に説明したとしても、そのまま流さずにジャッジを呼んでルール上適正か確認を求めると良いでしょう。
ジャッジがテーブル間を巡回して、ちょうど通りがかった時にルール上間違ったカードの運用をしたなら、ジャッジはそれを指摘して適正な処理をするように求めます。
しかし現実問題、常時全てのテーブルに同時に目を配るわけにもいきません。
繰り返しになりますが、疑問や違和感を感じたなら、あなた自身が「呼ぶ」ことが必要です。
以前、私は「ジャッジを呼ぶと、ジャッジの仕事を増やしてるようで申し訳ない気がする」という意見を聞いたことがあります。
しかしルールミスをそのまま放置しておくと、さらなるルールミスや処理不能な状態に陥る可能性があり、それからジャッジを呼んでもゲームが修復不可能になるケースも少なくありません。
そうなった場合、ジャッジへの負担は余計に大きくなってしまいます。
ゲームの進行中に違和感を感じたら、問題が大きくならないうちにジャッジを呼ぶということは、逆にジャッジの負担を軽減することに繋がっているのです。
ちなみにジャッジを呼ぶ際は、急に大声で「ジャッジー!」 と呼ぶと対戦相手が驚いてしまいます。
ジャッジの判断を仰ぎたいときは、相手に一言「ジャッジを呼んでルールの確認をしてもよろしいですか?」と断ることで、こころよく応じてもらえるでしょう。
・ ジャッジに聞けること、ジャッジが答えられないこと
初めて大会に参加するということは、つまり初めてジャッジと出会うことでもあるかと思います。
前段で「ジャッジには積極的に質問すると良い」と書きましたが、質問によってはジャッジが答えられない場合がありますので気をつけてください。
主な質問としては、
・ カードの正式なテキスト、またはカードの正式な名称
正式なカード名を知っている必要がありますが、エキスパンション、マナコスト、カードタイプ、パワー/タフネスなどのカードテキスト(オラクル)を聞くことが出来ます。
逆に、上記のカードテキストを伝えることで、該当するカードの正式名称を教えてもらうことが出来ます。
例1)
A「エルドラージ覚醒の無色カードで、【各プレイヤーは、自分がコントロールするすべての有色のパーマネントを生け贄に捧げる。】というテキストの、ソーサリーの正式名称を教えてください」
ジャッジ「《全ては塵/All Is Dust》ですね」
このくらい詳細に伝えることが出来れば、十分教えてもらえるでしょう。
しかし逆に、
例2)
B「エヴァのテキストが思い出せないので教えてください!」
ジャッジ「すみませんが正式な名前でお願いできますか?」
このように、カードの俗称(あだ名)だけでカードのテキストを確認しようとしても、聞くことが出来ません。
もしあなたが《翻弄する魔道士》や《真髄の針》をデッキやサイドボードに入れているときは、相手が使った重要なカードの名前や効果を手早くメモするなどして忘れないようにすると良いでしょう。
・ カードの効果や、カード同士の相互作用の結果
《深淵の迫害者》と《臨死体験》を両方コントロールしているプレイヤーが、ライフ1点の状態でアップキープを迎えた(=《臨死体験》の勝利条件を達成した)らどうなるでしょう。
《深淵の迫害者》には「あなたは勝利することなく」とあります。
《臨死体験》には「勝利する」とあります。
矛盾した2つの効果のうち、どちらが優先するかが問題になります(実際は「勝利できない」が「勝利する」に優先する) 。
一見矛盾するカード同士の効果や、逆にカードの効果を大幅に高める組み合わせなど、M:tGの膨大なカード達は時として様々な相互作用をもたらします。
それらの内いくつかは、カードのテキストをじっくり読むと理解できるものです。みなさんも慣れてくると、テキストを読むことで自己解決できるものが大半になってくることでしょう。しかし、中には複雑なルーリングを引かなければ解決できないものも存在します。
これらのルールの処理で対戦相手と意見が食い違ったときも、ジャッジに頼ってみましょう。
ジャッジは総合ルールとカードの正式なテキストに基づいて、(基本的にはYES/NOで)答えることが出来ます。
ただし、ここにもジャッジにも答えられない質問が存在します。
ルールやカードのテキストに直接かかわらないプレイングや盤面の状況に関する質問は、ジャッジの管轄外です。
これも例を見てみましょう。
例1)
A「ジャッジ、1ターン目の土地セットはどれが良いですか?」
ジャッジ「お答えできません」
A「ジャッジ、今《稲妻》を相手にプレイしたら僕は勝ちますか?」
ジャッジ「お答えできません」
例2)
A「こちらのライフは3点です。こちらが《翻弄する魔道士》を出していて、《圧倒する雷》を宣言しました。するとBさんは《圧倒する雷》をサイクリングして、こちらに6点のダメージを与えようとしました。《翻弄する魔道士》で禁止しているのに可能なのでしょうか?」
ジャッジ「可能です」
A「それは何故ですか?」
ジャッジ「《翻弄する魔道士》は、呪文を唱えることを禁止します。対して《圧倒する雷》のサイクリングは呪文としてではなく、カードが持っている起動型能力です。起動型能力は呪文を唱えることにならないので、《翻弄する魔道士》の影響を受けません。サイクリング能力を使ったことにより、【対象のプレイヤーかクリーチャーを対象とする。それに6点のダメージを与える】という誘発型能力がスタックに載るわけです」
A「わかりました。(Bに向かって)ではこちらは何もありませんので、ライフが0以下になります。Bさんの勝ちです」
例1は、プレイングに関する質問(土地を置く順番)や、盤面や手札に左右されるためにプレイヤーが判断すべき問題です。
これらはジャッジには答えられません。
例2は、カードの相互作用に関する質問です。
確かに勝敗に関係していますが、それはプレイングの問題ではなく、今起きていることのルール的な意見の相違を解決する質問ですので、ジャッジがルールとカードテキストに基づいて答えることが出来るのです。
判断基準としては、
・ カードのテキストや相互作用などで、
・ YES/NOの範囲で答えられそうな質問
ならば、ジャッジは答えてくれるでしょう。
・ ジャッジなんて こわくない
少し難しい話が続いてしまいましたが、かんたんにまとめると、
1.ジャッジとは、プレイヤー間で込み入った話を整理してくれる人である
2.ジャッジとは、プレイヤーの疑問に答えられる範囲で答えてくれる人である
ということです。
初めて参加する大会で、右も左も初対面なら、一番頼りになるのは公平中立のジャッジです。
こわがらずに、気軽に質問してみてください。
ジャッジだってあなたと同じで、MtGが大好きな1プレイヤーであることに変わりはないのですから。
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